第4章 あなたの世界に
「あ、あ、あ…あなた…なんで急に…⁉」
「?俺はずっと上にいたが」
上?…このテラスの屋根の上にずっと⁉
「なんで⁉そんなところに⁉」
「…別にいいだろ。お前が急に大声出すから目が覚めちまったじゃねーか」
「あ、ごめんなさい…じゃなくて‼
もしかしてずっとそこにいましたか?
毎日屋根の上に…?」
「まぁほぼ毎日いたと思うが…お前もよくもまあ毎日ここへ来てたもんだな」
…なによ…これ…
こんなに近くにいただなんて…
「ふふっ…おかしいっ…」
「あ?何笑ってんだ」
「私…ずっとあなたに会いたかったんです。
でもあれ以来あなたは来ないし…
でもずっと、私のすぐ上にあなたはいたんですよね?」
「…ああ。なぜ俺なんかに会いたかったんだ?」
「それは…」
あれ…?なにこの感じ…心臓がドクドクしてる
言葉が出てこない…
「ひ、秘密です…っ」
「そうか」
落ち着いて心臓…どうしたの本当に私…
「あの…リヴァイ様、また」
「様はやめろ」
「え?…ではなんとお呼びしたら…?」
「…リヴァイ、でいい
それに、言葉遣いもなおせ。俺の前ではその丁寧な言葉はやめろ。イライラする」
「ご、ごめんなさい。り…リヴァイ…」
「…できるじゃねーか。まぁ、馬鹿野郎とか叫んでる奴に丁寧な言葉遣いは似合わねーよな」
「…‼‼あ、忘れてください‼さっきのは‼‼
…恥ずかしい…」
ていうかあなたのせいですけど!
「で、さっき言いかけたことは?」
「あ、リヴァイ。あの…またここに来てくれませんか?」
「…俺は毎日来てたが」
「屋根の上じゃなくて!下に!
あなたともっとお話したい」
「…変な奴だな」
月明かりに照らされて光るあなたの瞳が
私を捉える
吸い込まれそうな綺麗な目
高鳴る心臓
その瞬間、視界が真っ暗になる
え……?
唇に触れる柔らかい感触
「お前が…みつめるから悪い」
それだけ言うと彼は去っていった