第4章 あなたの世界に
それ以来、私の頭の中はリヴァイのことだらけになった
来る日も来る日もテラスへ向かうが
やはりあなたはいない
「…もう、来てくれないのかな」
あの冷たくて鋭い眼差しの奥に光る
凛とした瞳が忘れられない
もう一度会いたい
いつものようにパーティへ向かう馬車の中で父に言われた
「最近のお前はどうした?勉強も稽古も身が入っていないと先生方から言われたぞ。
最近はレイス家の者ともほんの数分話しただけでお前はどこかに行ってしまうそうじゃないか。今日はずっと、ワシの目の届くところにいてもらうぞ」
「え、でも…‼」
パシッ!
「いたっ…‼」
「口答えか?…お前を叩くのも久しぶりだな。最近はずっといい子でよくできた子だと思っていたのに」
「…ごめんなさい…」
私…どうしちゃったの?
あの人のことばかり考えてる
でも…もう忘れよう
父の顔に泥を塗るようなことはできない
しっかり、演技し続けなければ…
「やぁさん。お父様も。こんばんわ」
「シャルエ様…」
「おお、シャルエ様。いつもがお世話になっております」
「ねぇシャルエ。この方達はどちら様ですの?」
シャルエの横には小柄でとても可愛らしい女性が立っていた
「ああ、さん、お父様、紹介します。
僕のフィアンセのマリアです。
今日はどうしてもついてくるとうるさくて…」
「まぁ、うるさいだなんて失礼ね!私だってたまにはお遊びに参加したいですわ。
それに…もうそろそろ皆さんには私たちの結婚を報告するべきじゃないかと思いまして」
シャルエ様にフィアンセがいるなんて知らなかった
父を見ると…笑顔がひきつり、わなわなと震えているのがわかった
「シャルエ様、マリア様。おめでとうございます!末長くお幸せに」ニコッ
「父様、行きましょう。ラース家の方が見えています」
「あ、ああ…ではシャルエ様、マリア様…失礼します」
「マリア…話には入ってくるなと言っただろう」
「うふふ…あれがあなたの好きな女なのね。むこうもあなたのことを好いているのかと思ったけど…なんともあっさりしすぎていてつまらなかったわ。
もっと嫉妬に狂ってしまう様が見たいのに!」