第4章 あなたの世界に
「…さん?」
「あ…はい?」
しまった…ボケッとしてしまっただろうか
「ふふっ…なんだか今日のさんはどこか抜けていてとても可愛らしい」
「ごめんなさい私ったら…考え事を…」
「いや、いいんだ。君はいつもキリッとしていて入る隙さえないと感じていたから…
そんなに張り詰めなくてもいいんだよ。
君らしく…が1番だから」
「私らしく…ですか?」
「そう。こんな場所だし、みんなただ遊びに来てるだけじゃないっていうのもわかるけどさ…せっかくのパーティだ。楽しくやろう」
私らしく…
私は…本当はこんなパーティ来たくない
上品な振る舞いも言葉遣いもめんどくさい
でも…演技しなきゃ
父が見てる
「…そうですね!せっかくですもの…楽しみましょう!
…あ、私、少し席を外しますね。
楽しかったですわ。またお誘いお待ちしております」
ペコッ
私…らしく…
「ん?なんだどこへ行く?」
「父様…少しシャルエ様とのダンスで目が回ってしまいましたのでテラスで休んでまいります…」
「ハハッ、そうか。お前にもちゃんとした社交ダンスを習わせないとな。近々先生を呼んでこよう。ワシは向こうで話してるからな」
「はい。あとで行きます」