第1章 初恋
遺跡に行く日が決まり、私たちは夜集まった
セッちゃんは親と世話役の目をぬすんで。
アルは風族の監視官の目を盗んで。
私は、叔母ちゃんの目をぬすんで。
真夜中の森
なにも見えない真っ暗の中
私たちは松明とアルの道案内だけで目的地にたどり着いた
「よし、ようやくついたな」
「はぁー・・怖かった~」
洞窟をみわたすアルの後ろで、私はへたれた
夜道は苦手の上、いつ野獣に襲われるかヒヤヒヤしながら
無事についたから。
「こんな真っ暗なのに、道がわかるなんて、すごいじゃない」
冷静に褒めるセッちゃんに、アルは黙って進んでいった
「ちょっと、アルー!」
「いいのよ、レイシ。」
「でもセッちゃん・・・!」
「アルが最初に誘ってくれたんでしょ?
それだけでも、嬉しいからもう十分。」
セッちゃんはそう言って、アルの後ろについていった
「あ、ちょっと置いていかないでよー!」
水が岩に滴り落ちる音
そこかにねずみが動いてる音
時々飛ぶコウモリの羽ばたき
ほとんど見えない真っ暗な洞窟の中は一本道で
私たちは道に迷うことなく進んでいけた
「ねぇ、アル。
本当にこの遺跡で神様が集まるの?」
「・・・・。」
「それに、洞窟つくまでもそうだけど、なかなか詳しいんじゃない?
この洞窟のこと、特別な何かを知ってるんじゃない?」
「・・・・。」
「あら、無視?
淋しいわね~」
「・・・。」
セシリアの話に、完全に無視して進んでいくアル
それにたいして、私は我慢できなかった
「ちょっとアル!
少しはセッちゃんの話に反応しなさいよ!」