第1章 初恋
「しっ!」
アルは私の口に手をつけ、立ち止まった
「・・・・?」
「誰かいる・・。」
「?!」
アルは私とセッちゃんに『じっとしてろ』と手で合図した
「いるのはわかってるんだ!
姿を現したらどうだ?!」
アルの大声が、洞窟中に響いた
だが、静寂が洞窟に広がるだけだった
「アル~こんな暗い洞窟に、そして真夜中にいる人なんて
私たちだけだよ~」
「・・・。」
私は空気を和ませるために、話したが
アルはあたりを見渡してばかりいた
こんなに真剣なアルは、見たことない
薄暗く、相手の顔ははっきり見えるわけではないけど
・・わかる。
アルは、すっごい睨んでいるということが。
「それが、いるんだよ。」
「?!」
私の首元に、なにか鋭いものがあたる
ナイフ?
いや、爪だ
長い爪が、私の首にあたり、耳元で聞きなれない青年の声が響く
「へっ・・き、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
私は思わず大声をだしてしまった
振り向くと、黒い長髪を束ねた、見知らぬ青年がニッコリこちらをみて立っている
両手には長い爪
口元は包帯で隠している
長い、黒いコートをきた青年に、私は寒気をした
「あ、あなた何者?!」
口が震える私に、青年は小馬鹿にしたような口調で答えた