第1章 初恋
「・・ア、アル?」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「アル、落ち着いて。」
「うるせぇ、黙ってろ水族。」
心配する私やセッちゃんに、アルは人が変わったように答える
それをみて、ずっと闇族の青年はクスクス笑ってる
「アル王子様、その片手に貯めてる魔力、俺にぶつけてみろよ。
少しはスキリするかもしれませんよぉ~?」
「うる・・せぇ!」
「え、なに、怖いの?
もしかして、怖いのぉ~?!」
「っ・・・上等だ!
今すぐでもお前にくらわしてや」
ドガンッ!!
「?!」
私たちの目の前で、闇族の青年は強力な力に吹き飛ばされ
洞窟の壁に叩きつけられた
「っ・・がはっ?!」
吐血して、倒れる闇族の青年
一体に、何がおきたのか私たちはわからないまま
お互いを見合った
アルの片手には、魔力の塊がある
セッちゃんでもない
もちろん、私でもない
じゃあ、今闇族に攻撃したのは・・・
「こんな洞窟に隠れていたとはな、闇族。」
白い鎧に、白銀の髪、背中に真っ白な翼を生やし
銀色の剣と盾をもち、ゆっくりこちらに歩いてくる青年は
私たちより少し年上に見えた
「ぐっ・・・てんめぇ・・・!」
「起き上がるな、ゲスが。」
ヒュンッ と、剣が風をきる音と共に
グシャッという血が飛び散る音が聞こえた
私は信じられなかった
さっきまで話していた闇族の青年の首が、宙をまって地面に転がった
この鎧の青年が、切り落としたのだ