第42章 僕達のバスケです。
木吉「いかんなぁー。せっかく憧れてくれている子の前でこんな様子じゃ…」
るり「…えっと、覚えてたんですか?」
何だか急に恥ずかしくなった。
木吉「あぁ。嬉しかったからな。ボブさんがすごい目を輝かせながら『大ファンです!好きです!サインください!』って言ってたの。」
るり「は、お、思い出すと、は、恥ずかしいです。」
思わず恥ずかしさから顔をうつむけた。
そんな私を見て木吉先輩はクスリと笑った。
木吉「正直言うと怖いんだ。今年までって決めてたけど…もうみんなとバスケが出来ないかもしれないのが…」
るり「…。」
木吉「ボブさんも知ってるよね。俺の膝の事。」
私はしばらく黙り込み
静かに頷く。
本当は知らないふりをして居たかった。
ずっと忘れているふりをして居たかった。
木吉先輩がこれでもう誠凛のコートから消えてしまうのが。
木吉「…せっかく俺のプレーが好きだって言ってくれたのにごめんな。」
るり「…そんなっ…先輩は…なにも…」
木吉「花宮達とやった時。君が花宮達の控え室にずっと居たのは俺の事があったからなんだよな…?怖い思いをさせて悪かった。」
るり「違います!…いや、違わないですけど…でも!それは私の勝手な判断で!結果、嘘つかれてて、木吉先輩はボロボロで…私なんて…ただ迷惑かけただけ…で…」
思わずポロポロと涙が流れる。
木吉「うぁ!?わ、悪い!泣かせるつもりじゃなかったんだ!ほ、ほら、黒飴あげるから元気出せ!」
木吉先輩は私に黒飴を袋ごとくれた。
私はその袋をぎゅっと抱きしめた。