第40章 理不尽な願い。
るり「昔から大体わかってた。自分がどういう行動をすればいいかって。自己満足かもしれないけど…。」
黒子くんは不思議そうに私を見つめた。
るり「私が何でも言う事を聞けば…お母さんやお父さんは褒めてくれた。るりは偉いね。わがまま言わないいい子だねって。」
るり「いつしか私がなんでも我慢すれば上手く行くって気がついた。そうすれば誰もが好いてくれるし、誰も困らない。…そうわかってたはずだった。」
黒子くんは私の話を黙り込んで聞いていた。
るり「今回だってわかってるはずなのに。どうすればいいかわかってるはずなのに…心が痛くて…苦しい。なんでかな?おかしいよね?」
気がつくとまた涙がぽろぽろと流れていた。
黒子「…それは本当に正しい選択なんですか?」
るり「…え?」
私が顔をあげると、
黒子くんが優しく私の頬に伝う涙をぬぐった。
黒子「神谷さんが今何に悩んでいるのかは…わかりません。でも…心が痛くて苦しいのは…きっとそれに納得できていないからです。」
るり「でも、私が我慢すれば…全て上手くいくの…。」
私がそういうと、
黒子くんは私をぐっと引き寄せた。
空になったココアの缶が
地面に落ちて静かな公園内に音を響かせた。
私は黒子くんの腕の中に
収まっていた。