第40章 理不尽な願い。
ベンチに座り缶の飲み物のフタを開ける。
…。
…。
手がかじかんで上手く開ける事ができない。
るり「…。」
私が苦戦しているのに気がついたのか、
黒子くんは私の手から缶を取ると、
いとも簡単に開けてしまった。
黒子「どうぞ。」
るり「ありがとう。」
ココアをゆっくりと口に運ぶ。
暖かいものが体に流れ込みほっと一息でる。
黒子「…もしかして、僕が昔の話をしたからいろいろ思い出してしまいましたか?」
黒子くんは心配そうに私を覗き込んだ。
るり「いや、違うよ!昔の事はもう大丈夫。後悔する事はいっぱいある。でも、過ぎた事はどうしようもないし…今考えてもどの行動がベストだったかなんてわからない。だから、きっとそれでよかったんだと思う。」
黒子「…そうですか。」
黒子くんはなんだか安心したような顔をし、
ホットバニラシェイクを口に運んだ。
シーンとした空間に
冷たい風が吹きぬける。
冬の澄んだ空に星がかすかに見えた。