第40章 理不尽な願い。
自動販売機の前に行く。
ずっと暗いところに居たから。
眩しくて目が眩むようだった。
黒子くんがお金を入れる。
黒子「神谷さんはどれがいいですか?」
るり「あ。自分で出すよ。」
私は慌ててポケットからお財布を出そうとすると、
その手は止められた。
黒子「おごります。」
るり「…でも」
黒子「おごらせてください。」
るり「…ありがとうございます。」
私は頭を下げると、
黒子くんはニコっと笑った。
何だかその笑顔が懐かしいような
愛しいような不思議な気分になった。
るり「じゃぁ、ココア買うね。」
私は暖かいミルクココアを押した。
"ピッ"と音がした後、"ゴトン"と缶が落ちてきた。
黒子くんは迷わず
あったかいバニラシェイクを押した。
るり「…バニラシェイクなのに暖かい…?」
黒子「はい。この間からずっと気になってました。」
黒子くんは嬉しそうに缶を手にすると、
再び私と手を繋ぎ、ベンチの方へと歩みだした。