第40章 理不尽な願い。
しばらく無我夢中で走った。
"ドンッ"
なにやら柔らかく暖かいものにぶつかった。
ちゃんと前を見ていなかったせいか、
人にぶつかってしまったようだ。
るり「す、すいません。」
私はその人に謝ると、
再び走りはじめた。
が、その腕は掴まれた。
黒子「神谷さん。」
聞き慣れたその声に振り返る。
黒子くんだった。
るり「あ…黒子くん…。」
私は急いで涙を拭い
笑顔を作る。
るり「どうしたの?こんな夜中に!明日試合だよ?あ!火神くんみたいに興奮して寝れないの!?」
必死で明るく振舞うために
言葉を並べる。
黒子くんは私をしばらく見つめると、
私の頬に優しく触れた。
黒子「…なにか…あったんですか?」
不安気に私の顔を覗き込んだ。
るり「え?…なんで?」
黒子「…涙の跡があります。」
私は耐え切れず
再び泣き出した。