第40章 理不尽な願い。
布団に潜り込むと
私は泣いた。
明日はついに洛山と誠凛の決勝戦。
どちらが勝ったにしても…
結果は同じなんだ。
洛山が勝っても…
私はきっと赤司くんの賭けを放棄し、
父の申し出を受けるだろう。
誠凛が勝っても…
きっと私は父の申し出を受ける。
だって…
断ってしまったら…
壊れかけていた家族は
完全に崩壊してしまうんだもん。
私が大人しく父のいう事を聞けば…
きっと丸く収まる。
父の仕事も減って、
母も働かなくていいようになって…
家族団らんが出来るはず。
父も母も
るりちゃん偉いねって褒めてくれるはず。
…そうか。
それでいいんだ…。
一番正しい選択は見えているのに
どうしても、心が納得してくれない。
拒否反応からか
ひたすらに涙が流れ続ける。
どうしてこんなに胸が痛いのか
わからない。
いつの間にか帰ってきていた母が
父と言い争っている声が聞こえる。
きっと…私のせいだ。
耐え切れず、
私は家を飛び出した。