第40章 理不尽な願い。
るり「待ってよ!お父さん!そんなの…」
私は立ち上がり、
大きな声で反論した。
父「るり。頼むよ。お父さんのためだと思って…家族を救うと思って…願いを聞いてくれ。」
父は立ち上がると
床に跪き、更に、床に頭をつけた。
父は私に土下座しているのだ…。
るり「いやだ。いやだ…!!やめてよ!お父さん!」
父「こんなチャンスないんだ。それに、これを逃したら…会社は確実に潰れる。頼む。頼むよ…るり。」
どうしていいかわからなかった。
頭が真っ白で
怖くて怖くて…
たまらなかった。
るり「もし…私が断ったら…どうなるの…?」
私がそういうと
父はゆっくりと顔をあげた。
父「会社が潰れ、僕は大きな借金を負い、この家を引き払い、僕と妻は離婚する。君は恐らく妻の方についていくことになるだろう。僕は一人借金に苦しみながら…死んでゆく。」
どうして?
どうしてそうなるの?
私の頭では
全く理解ができなかった。
理解したくなかった。
父はゆっくりと立ち上がると、
私の肩を叩いた。
父「まだ時間はある。ゆっくり部屋で考えなさい。僕はお母さんが帰ってきたら、お母さんにもこの話しをするよ。」
私は言われるまま
荷物を持つと、部屋へと逃げるように駆け込んだ。