第40章 理不尽な願い。
新しいこの家に来てからは…
それぞれが部屋を持ち、
それぞれの時間がすれ違った。
大きな一つの家に住んでいながら
そこで関わる事はなく、
大きな家の中で
すれ違った生活が始まった。
それが憂鬱で
私は嫌いだった。
父「でもね、るり。一つだけ会社が持ち直す方法があるんだ。それが出来れば、会社を持ち直せるだけじゃなく、お父さんは今よりずっと仕事をしなくてよくなるし、お金だってもっと貰える。」
そういうと、
父は嬉しそうに笑った。
るり「…え?」
父「いつも取引をしてくれている大きな企業の社長の息子さんがね…今年30歳にもなるんだがお嫁さんが見つからないそうなんだ。」
るり「…。」
父「決して悪い人ではないんだ。ただ奥手な方のようでね。…社長の息子さんにるりの写真を見せたんだ。そしたらるりの事をかなり気に入ったようでね。」
話しの流れから
大体の事は察しがついた。
吐きそうなぐらい気持ちが悪くなった。
るり「待って…それって…。」
父「あぁ、るりは頭がいいからわかるだろ?…その息子さんと結婚してほしいんだ。」
頭がフラフラとした。
やっぱり嫌な予感は的中してしまった。
そしてやっぱり父は
私の事なんて…
愛していない。