第40章 理不尽な願い。
家へと向かう足は重かった。
嫌な予感しかしなかったから。
父は私に対して無関心だ。
正確に言うと、
無関心になった。
私が小学生の頃までは
父と会話する機会は少しだがあった。
それに、家にだって毎日帰ってきていた。
優しい父だった。
しかし、
小学校を卒業し、
新しい家に引っ越す少し前程から
父は家に居る時間が減った。
仕事が忙しくなったのだ。
当然ながら会話も減った。
それでも、
父は忙しいだけで、
また仕事が落ち着けば私にかまってくれる。
私を嫌いになったわけじゃない。
私を…愛していてくれている。
そう信じていた。
期待は裏切られた。
私が事故にあったあの日。
父は仕事を理由に私の所へ顔を出す事はなかった。
入院中も一度も
父が病院を訪れる事はなかった。
恐らく父は
私を愛してなどいない。