第39章 変化していく心情。
次の日の決勝トーナメント一回戦。
青峰くんはいつにも増して気合が入っている様子だった。
今までの試合、その圧倒的強さ故に
相手がやる気を失くしてしまったりと
恐らく青峰くんにとっては物足りない試合内容だった。
しかし、今日は去年いい勝負を繰り広げた
上崎中の井上さんがいる。
久々に手応えのありそうな相手ということもあって
きっと楽しみにしていたのだろう。
心のどこかで安心していた。
久々に生き生きとした目の青峰くんを見れたから。
帝光中が全中の地区予選がはじまったぐらいから
青峰くんはなんだか様子がおかしかったのだ。
どこかつまらなそうで、
どこか憂鬱そうで…
更にいつだって練習を真面目に続けていた
青峰くんが次第に部活をさぼるようになったのも
この頃からだった。
理由はわかっていた。
青峰くんは周りよりずっと早く強くなりすぎたのだ。
でも、きっと今日でそれも解消されるはず…。
私はそう願っていた。
青峰「ん?なんだよるり。人の顔じっと見て。」
るり「へ?ううん。なんでもないよ。」
私がわらって誤魔化すと、
青峰くんもニカっと笑った。
青峰「あいつ、去年よりずっと強くなってるだろうなぁー。」
るり「井上さん?」
青峰「おう。」
るり「がんばってね!」
青峰「任せとけ!」
アップの時も青峰くんは終始嬉しそうだった。