第38章 変化していく日常。
るり「先輩も充分すごいです。」
私がそういうと、
虹村先輩は嬉しそうに笑った。
虹村「ありがとな。」
るり「はい!」
先輩はまたワシワシと私の頭を撫でた。
虹村「赤司の事…頼んだぞ。」
るり「…?はい!」
正直、
その言葉の意味は
よくわからなかった。
赤司くんはいつだって
何でも一人で出来て、
誰の助けも要らないぐらい完璧な人だったから。
私に何を頼んだのか…
その時は全くわからなかった。
でも、虹村先輩は
心のどこかで"何か"に気がついていたのかもしれない。
それから少しだけ
話した後、
私達は図書室を後にし、
『また部活で…』
とお別れした。
教室へ戻る途中、
ふと後ろから声を掛けられ振り返ると
そこには赤司くんが居た。
るり「あ!赤司くん!お疲れ様です。」
赤司「…髪がぼさぼさだぞ。どうした?」
赤司くんは私の髪を整えるように
優しく撫でた。
るり「え!?あ、さっき虹村先輩にワシワシされました!」
私がそういうと、
赤司くんは少しだけ眉間にシワを寄せた。
赤司「…一緒に居たのか?」
るり「はい!さっき図書室に辞書を運ぶのを手伝ってくれました!」
赤司「…そうか。二人でか?」
るり「…?はい!」
赤司「…そうか。」
それから赤司くんは私の髪を整えるように
何度も何度も私の髪を撫でた。
るり「あ。あの、そんなボサボサですか?私、ちょっとトイレで鏡見てきます。」
赤司「…うるさい。」
赤司くんはそう言うと無表情で
ずっと私の髪を撫でた。
るり「…?は、はい。」
少し困惑しながらも、
私は大人しくその場で髪を撫でられ続けた。