第37章 永遠の憧れ。
リコ先輩は降旗くんの方を指差した。
リコ「降旗くん!出番よ!」
降旗「え゛…!?」
全員が目が点になっていた。
でも一番驚いていたのは
降旗くん本人だった。
るり「ふ、降旗くん!がんばって!」
福田「落ち着け!降旗!」
河原「がんばれ!」
私たちの応援も耳に入っていないのか
ガタガタと振るえたまま降旗くんはコートへ入っていく。
伊月「頼むぞ。マーク、4番な。」
入れ替わりに伊月先輩がベンチに戻ってくる。
その顔は不安気だった。
コート内のメンバーも不安そうにしていた。
私とリコ先輩だけニコニコと事の成り行きを見ていた。
緊張からミスをするが、
すぐに仲間がフォローに入る。
"臆病だからこそ出来る事もある"
これは乱れたペースを正すための戦略。
次第にメンバー達もその意図に気付きはじめ、
慎重な攻めを進めて行き、
得点に結びつく。
黄瀬「ふぅーん、なるほどねぇ。まさにるりっちの一番好きなタイプの選手っスね。」
黄瀬くんは汗をぬぐいながらそう呟いた。
笠松「ん?どういう事だよ?」
黄瀬「るりっちは昔からあんな感じの原石タイプが好きなんっスよ。妬いちゃうっスね!」
笠松「…なるほどな。」
海常メンバーも降旗くんの投入の意を理解しはじめていた。