第35章 選ばれなかった色。
灰崎「お前さ、まだバスケのマネージャーとかやってんの?」
るり「うん。」
灰崎「赤司ん所?」
るり「ううん。誠凛。黒子くんと一緒だよ。」
私がそう言うと、
灰崎くんは少し驚いていた。
灰崎「へぇ。テツヤと一緒か。なんか意外だな…。」
るり「そうかな?」
灰崎「…あの時は悪かったな。」
るり「…え?」
思わずドリブルの手が止まり、
ボールが地面を転がる。
灰崎「…最初は本当にお前の事ボロボロにしてやろうと思ってた。けど、お前の事女バスの奴に聞いたらさ…何も出来なくなっちまった。」
るり「…。」
足元に転がったボールを
灰崎くんは拾いあげ、シュートした。
灰崎「同じかもしんねぇって思ったんだ。」
るり「同じ…?」
灰崎「…結構好きだったんだ。あいつらとするバスケ。だから、辞めたくなかった。リョウタが入ってきた事で俺がレギュラーからはずれるかもってのは分かってた…でも、認めたくなかったんだ。」
るり「…。」
灰崎「悔しかったんだ。除け者にされたみたいで…まぁ、俺の場合は自業自得なんだろうけどな。」
灰崎くんはまた悲しそうな顔をしていた。
るり「私も…自業自得だったのかもしれない。」
灰崎「…?」
るり「周り、見えてなかったんだ。皆のためにって勝手な自己満足で一人で走り続けてた。気がついたら、周りに誰もいなかった。」
私はゴール下に転がったボールを拾い上げた。