第35章 選ばれなかった色。
彼は公園でバスケの練習をしていた。
その表情は真剣で…
私は暫く彼を眺めていた。
るり「…。」
実はバスケが好きなんじゃないか…と
私は思った。
暇つぶしと本人は言っていたけど…。
あの悲しそうな表情は
きっと…
自分が"選ばれなかった"から
寂しかったのかもしれない。
六色のキセキと
そこに新しく加わった色。
そして、
そこから消え去った色。
それからたまに、
灰崎くんは私の近所の公園でバスケの練習をしていた。
私はそのたびに
眺めていた。
私が中学を卒業した頃には
彼はすっかりあの公園には来なくなっていた。