第35章 選ばれなかった色。
灰崎「悪かったな。腹、殴っちまって…。」
耳元で灰崎くんの声がした。
るり「…そうだね。結構まだ痛い。」
"ッガン…ガンッ!!!"
ドアの外からなにやら音が聞こえてきた。
灰崎「…思ったより速かったな。」
そう言うと、灰崎くんは身体を起こした。
"ガンッ"
凄まじい音と共に、ドアは開いた。
るり「…あ。」
そこには黄瀬くんが居た。
黄瀬「あー、やっと見つけた…。」
なにやら黄瀬くんは息を切らしていた。
灰崎「よぉ、リョウタ。」
灰崎くんはニヤニヤと笑いながら黄瀬くんの方へ歩み寄った。
黄瀬「…うちのマネージャーに何してくれてるんスか?」
黄瀬くんは灰崎くんを睨みつけた。
灰崎「別に…?まぁ、もうスッキリしたし、俺は行くよ。じゃぁーな。リョウタ。」
黄瀬「はぁ!?ちょ、待て…」
黄瀬くんは灰崎くんを追いかけようとしたが、
私を見つけると、すぐに私の方へ駆け寄ってきた。
黄瀬「るりちゃん。大丈夫っスか?」
黄瀬くんは私の手に巻きつけられたガムテープを剥がすと、ブレザーの上着をかけてくれた。
るり「…うん。でも、なんでわかったの?」
黄瀬「二軍の奴が見てたんス。るりちゃんが灰崎に連れて行かれる所。だから、みんなで手分けして探してたんス。」
るり「そっか…ありがとう。」
黄瀬くんは突然私を強く抱きしめた。
るり「え!?き、黄瀬くん!?///」
黄瀬「守れなくて…ごめんっス。」
るり「…あ。あのね、黄瀬くん、わ、私…」
黄瀬「無理しなくていいっス!」
なにやら勘違いされてしまっているようだ。