第35章 選ばれなかった色。
私が男子バスケ部の1軍マネージャーになって
まだ間もない頃だった。
その頃にはもう、
黄瀬くんが居て…
灰崎くんはほぼ部活には来ていなかった。
来てもすぐに帰るという感じで、
私はあまり好きじゃなかったし、
あまり関わる機会もなかった。
レギュラーの人たちは大体赤司くんに
紹介してもらったけど…
彼だけは紹介してもらえなかった。
赤司くんは、
『いずれ居なくなるから紹介は要らない。』
としか言っていなかった。
しばらくすると本当に彼はバスケ部をやめた。
その時は詳しくは聞かされていなかったけど
赤司くんが強制的に退部させたらしい。
暴力沙汰も多く、試合もさぼったりと
素行はあまりよくなった…。
私もなんだか怖くて苦手だったし、
あまり話したこともなかったので
特に気にしていなかった。
きっと本当は
"関わるはずのなかった人"
だったから。
あの事件までは…。