第34章 本音。
『陽泉、TO(タイムアウト)です。』
そのアナウンスと共に全員がベンチへ戻る。
なにやら陽泉サイドは揉めているようだった。
るり(…どうせ自分のせいで負けたくないから勝負を投げようとしてるのかな…。)
私はその様子をじっと眺めていた。
きっともう紫原くんは出てこない。
…。
だが、紫原くんは出てきた。
正直驚いた。
しばらくすると木吉先輩も戻ってきた。
完全に流れは誠凛だった。
が、異変は起きた。
紫原くんが…
るり「ゾーンに入った!?」
ありえない。
ゾーンはバスケが好きな人しか入れないはず…
紫原くんはバスケが嫌いなはずじゃ・・・
…!?
それから展開はあっという間で
気がつくと
試合は終了していた。
72ー73
誠凛は勝利した。
会場は歓声に包まれた。
私も安心からか思わず力が抜けて
膝から崩れ落ちた。
すぐに戻ってきた選手たちに
タオルを渡したりした。
ふと陽泉のベンチを見た。
紫原くんは…
泣いていた。
るり「…。」
控え室に戻ると、
私はすぐに廊下へ出て、紫原くんを探した。
なんとなく…
彼が心配だったから。