第29章 過去②~帝光中学~
それからも私は部活には行かなかった。
でも、赤司くんは毎日会いに来てくれた。
毎日連絡もくれた。
たまに出てくる怖い赤司くんは"別人"なんじゃないかと思うほど、彼は暖かく優しかった。
私はやっぱり赤司くんが好きだった。
3年生引退の日。
この日は来て欲しいと呼ばれ、
私は体育館へと向かった。
2軍や3軍の練習を見てた子達が私に話しかけてきた。
私も笑顔で応えた。
「俺!神谷さんの事好きでした!」
そう言ってくれる子も居た。
すごく嬉しかった。
それがツクリモノの私だったとしても、
きっとそれはどうでもいいような小さい事なんじゃないかって。
人に好かれるって嬉しいと
単純にそう思った。
みんなと話しているときにふと赤司くんを見た。
背筋がぞっとするぐらい冷たい目で
私を見ていた。
"別人"のような目で。
私と目が合うと赤司くんは体育館から出て行った。
それが気になり、私は彼の後を追いかけた。