第29章 過去②~帝光中学~
ピンと張り詰めた冷たい空気が流れる。
心臓が早くなって、変な汗がながれる。
るり「間違っていた…とかじゃなくて…人それぞれで…。負けて得るものもあると思うし、バスケットはみんなで楽しくしたほうがいいし…勝ちにこだわり続けるのは変な気がします…。」
私はしどろもどろになりながらそう言った。
赤司「じゃぁ、逆に聞こう。君は負けて得たものはあったのか?みんなでするバスケは楽しかったのか?」
るり「私は…」
そして私は言葉に詰まった。
そうだ、私は…
赤司「気がついたか?君は"コッチ側"の人間なんだよ。」
赤司「君は負けた事がない。そして、仲間に頼ろうとしたことがないんだよ。君は僕たちと似てるんだよ。」
胸がぎゅっと苦しくなって
顔から血の気が引いたのがわかった。
そうだ。
私は
一度も負けたことがないし、
みんなで楽しいバスケなんて
したことがないんだ…。
いつも誰かに認められたくて
いつも"一人"で努力して、
気がつけば"一人"で強くなって
周りも見ずに突き進んだ私は
いつも"一人"だった。