第28章 過去~帝光中学~
そんな毎日が続いたある日。
いつものように一人で片付けをしていると
一人の男の子が体育館へやってきた。
「すまない、女子バスケ部の部長は居るか?」
声を掛けられ顔をあげると
そこには赤い髪の男の子が立っていた。
るり「あ、部長ならもう帰ってしまいました。」
私がそういうと男の子は少し考え込んだ。
「む、そうか…じゃぁ、副部長とか3年生とかは居るか?」
るり「あ、えっと…今残ってる部員がもう私だけで…」
私がそういうと男の子は驚いた顔をした。
「一人で片付けをしているのか?」
るり「はい。」
「何故だ?」
るり「私、これぐらいしか出来ないんです。だから…」
私がそういって笑うと男の子は少し考え込んだ。
「そうか…。でも、これを一人では明らかに大変だろう。どうやら君は右腕と右足が不自由に見受けられる。このペースだと21時を過ぎるぞ。」
るり「大丈夫です!いつもなので!」
私がそういうと男の子は溜息をついた。
「…ったく。変な奴だな。君は…。」
そう言うと男の子は体育館から出て行ってしまった。
私は再び片付けを再開した。