第28章 過去~帝光中学~
バスケ部のみんながお見舞いに来てくれて、
美雪もお見舞いに来てくれた。
その時間だけが楽しくて、
毎日楽しみだった。
でも、美雪はいつも
何かに怯えるように私を見ていた。
本人は隠しているつもりのようだったが
見慣れた美雪の表情の小さな変化を
私は見逃さなかった。
美雪は部活の事をたくさん話した。
今日は試合に負けた!とかミスした!とか
大半が愚痴や後悔だった。
私はいつもそんな彼女を励ました。
『勝つ事が全てじゃないよ。負けて得るものだってあるし、大好きな仲間とプレーが出来る。それだけで充分だよ。』
私がそういうと
いつも美雪はすごく申し訳なさそうにしていた。
それから、美雪はすっかりお見舞いに来てくれなくなった。
バスケ部の子に聞いたら、
美雪は引っ越したそうだ。
教えてくれればよかったに…
すごく寂しい気分になったのをよく覚えている。
それから私は学校へ行けるまで回復した。
その頃にはもう中学2年生の6月になっていた。