第28章 過去~帝光中学~
薄れ行く意識のなかで
ずっと聞こえていたのは
美雪の『ごめんね』の言葉だった。
そして、時折聞こえる甲高い笑い声と
悲鳴を聞きつけた野次馬の話し声だった。
美雪、どうして謝るの?
私はそういおうとしたが、
そこから意識は途絶え、
次目覚めた時は
母が涙目になりながら私を見つめていた。
るり「…おかあ…さん?」
母「るり!?よかったぁ!」
お母さんは私を抱きしめた。
るり「痛いっ!!」
抱きしめられた瞬間また身体に激痛が走った。
母「あ!ごめんね…。痛かったね。」
母は優しく私の頭を撫でた。
ふと見ると
私の右腕と右足は包帯でぐるぐるにされていた。
私は事故にあったそうだ。
私が偶然転倒したところに無灯火運転の2台のバイクが丁度来て、私はバイクに踏まれたらしい。
私を轢いた相手は近所の不良たちだそうだ。
命に別状はないものの、
腕が複雑骨折。
足も骨折。
私は半年ほど入院し、リハビリをしなければいけなくなった。
入院生活は退屈で憂鬱だった。