第17章 受験勉強
「…………ねぇ、秀一ってどうしてそんなに勉強できるの?」
蔵馬「いきなりどうしたの?」
「…………世の中不公平だなって思って」
蔵馬「は?」
「だって…秀一は勉強しなくても頭いいし……私なんか、努力の積み重ねでやっとだよ?
どうして努力も、してない秀一が学年一位を余裕でとれるの!!」
蔵馬「……いや、それをオレに言われても……」
悔しい!!悔しすぎる!!
……屈辱よ。
そりゃあ、蔵馬は元本業は盗賊の頭だった訳で……。
宝を盗むのに封印や暗号を解いて、常に先のことを人より二つ、三つと考えどんな状況にも対応できるような作戦を立てたりという、正に頭脳明晰という言葉が似合う妖怪だった。
しかも作戦は完璧。
妖狐蔵馬が立てた作戦や計画が失敗する等という話なんて、聞いたことないのだから。
そんな蔵馬にとって、人間界の勉強なんてそれはもう簡単なんだろうな……。
……ズルい。
「秀一、高校入試は特待生間違いなしみたいだね」
蔵馬「そんなことないよ、入試では手を抜いておくから」
「ほら!そこー!!そういうところが人を馬鹿にしてるの!!」
蔵馬「オレそんなつもりないんだけど」
「こっちからしたらそういう風に聞こえるの!!」
蔵馬「そんなこと言われてもな…」
どうして気づかないかな、自分がどれだけ人を苛つけるような発言をしているか。
本当に秀一はもう~~~!!
蔵馬「はいはい、そんな事より時音は数学の復習でしょ。手を動かす」
「…………」
秀一にそう言われ、再びシャーペンを持ちペンを走らせる。
今秀一に流された。
しかもあんなあっさりと……。
馬鹿にされるし……。
……屈辱よ。
結局私はまた秀一に負けちゃって、渋々勉強の方へ意識を向けることにした。