第38章 魔の手
戸愚呂弟の言葉に、黙って話を聞いている凛姫がフッ…と笑う。
左京も楽しげな笑みを浮かべていた。
左京『もとよりそのつもりだ。なにしろあの二人は今度の武術会の大事なゲスト(戦士)だからな』
凛姫「それだけじゃないでしょう?」
左京『勿論、玉藻の生まれ変わりである緋神子の姫・土御門 時音は武術会の優勝賞品とするつもりだ』
凛姫「良かったぁ。忘れているのかと思いましたよ。折角ここまでお膳立てしたのに」
左京『まさか、忘れる筈ないさ。私にとっても彼女は興味深い妖怪だ。君と同じでね』
凛姫「止めて下さいよ、左京さん。あんなの、あたしの敵じゃないですよ」
戸弟「ふ……あんたらも人が悪い……。あの二人とオレ達を戦わせる事が、今回の目的だったんだねェ」
左京『くっく……。察しがいいな』
凛姫「左京さん、あと確認!蔵馬と飛影もゲストとして呼ぶんですよね?」
左京『ああ。そのつもりだ。問題はあと一人』
戸弟「それなら問題ない。一人適任者がいる」
暗い部屋の中、悪党達が語るのは地獄のようなシナリオ。
そしてそれは、時音達全員を危険に巻き込む死の戦いの物語。