第16章 Christmas date
私って昔から秀一に遊ばれてる気が。
うん、絶対そうだ。
なんか……悔しい……
蔵馬「時音、映画行かないの?」
秀一に呼ばれて私は意識を現実へ引き戻す。
すでに先々歩いていた秀一の隣へ小走りで向かう。
「行くよ!!」
と、素っ気ない返事を返す私。
……どうしてかな……。前はもっと素直でいれたのに。
私いつの間に、こんなに強がりになってたのかな…。
蔵馬「時音」
「…へ?」
秀一にまた呼ばれ、顔を上げる。
蔵馬「どうしたの?ずっとボーッとしてたよ?」
「あ……ちょっと考え事してて……」
蔵馬「考え事?クス、時音ドジなんたからボーッとしながら歩いているとコケるよ?」
またおちょくりながら私に話し掛ける。
こういうところがいつもいつも…
私は無言で秀一をギロリと睨み返す。
蔵馬「クス、冗談だよ冗談。時音はとっても魅力的な女の子だよ」
「そっちの方が冗談に聞こえる」
蔵馬「自分の彼女を可愛いと思わない彼氏がいると思う?」
……なによ、自分が妖怪の頃は女遊び激しかったクセに。
心の中で呟く。
まあ、あの頃の蔵馬は自分が愛せると思う女(ひと)がいなかったんだと思う。
いや、つくる気なんてなかったんだろうな…
じゃあどうして蔵馬は私のことを……?
そういえば、ちゃんと聞いたことなかったな。
後で聞いてみよう。