第16章 Christmas date
ドアを開けると秀一がポケットに手を入れ、壁にもたれながら待っていた。
蔵馬「おはよう時音。今日の服可愛いね」
「おはよう秀一。ありがと//」
蔵馬「それじゃあ行こうか」
「うん////」
左手を差し出す秀一の手をとり、優しく、けれどギュッと握り合う。
こんなに寒い次期でも、大好きな人が隣にいるだけでこんなにも温かくなるんだ。
寒い冬空の下、手を繋いで歩く。
その手からは、秀一の温もりがジーンと伝わってきて、すごく安心する。
心までポカポカする。
「……幸せ」
蔵馬「何が?」
「え」
蔵馬「『え』って、今自分で『幸せ』って言ってたろ?」
ウソ!?私口に出してたの??!
秀一がニコニコしながら私の方を見る。
蔵馬「で、何が幸せなの?」
再度質問をする秀一。
それより気のせいかな……。なんだか顔が近いような……。
「いや…その…だから」
蔵馬「……だから?」
ゆっくりと顔を近づけてくる秀一。
「……なっなんでもないよ…」
蔵馬「…へ~、なんでもないんだ」
すると、唇に温かくて柔らかい感触が……。
え?コレって……。
状況が掴めず混乱していると、いつの間にか秀一が耳元で、
蔵馬「時音、愛してる」
と囁いてきた。
「バッ…バカ!!!!////」
そう言いながらベシッと秀一の頭を叩く。
蔵馬「叩くなんて酷いな。
オレは素直に気持ちを伝えただけなのに」
「あのね!!今日は買い物に付き合ってもらうだけで、デートじゃないの!!」
蔵馬「誰もデートなんて言ってないけど」
「っ!!」
あ~もうこの人はっ!!
どうしてこう、口達者なの!?
「~~~~~っ」
蔵馬「どうしたの?時音」
「知らない!!ほら、早くしないと映画始まっちゃうてしょ!!行くよ!!」
蔵馬「はいはい」
もう、いつもこれで秀一のペースに呑まれちゃって…。