第12章 危機
~蔵馬side~
妖気を辿り敵の正体を見つけたオレは、その場を見て全身が固まった。
敵の前に横たわっている時音から、大量の血が流れていた。
それを見た瞬間、オレの中の何かが切れた。
左腕を高々と挙げ、また時音を攻撃しようとしている。
オレは瞬時に植物を武器化させ、ヤツに攻撃した。
敵「ぐぁぁぁぁぁ!!!」
直ぐに時音の元へ駆けつけた。
「もう大丈夫だよ、時音」
時音はオレが思っていた以上に深手をおっていた。
時音「…蔵…馬」
すると、時音はゆっくりと目を開けてか細い声でオレを呼んだ。
よかった…。まだ意識がある。
相当怖かったんだろう。オレが抱き上げると目から涙を流す時音。
「さ、時音。後はオレが殺るから、今はゆっくり休んで」
時音「……」
オレの言葉に安心したのか、時音はゆっくりと目を閉じた。
急いで時音が着ている巫女装束を片方ずらし、魔界の薬草で手当をする。
包帯は持ち合わせていないため、巫女装束の振り袖の布を破り、代わりに巻いた。
一通りの手当が終わり、時音を寝かす。
「…………見え透いた芝居はやめろ」
敵「…………ケッケッケッ。まさか妖狐蔵馬、貴様まで現れるとはなぁ。計算外だったぜ」
「………」
敵「それとも大事な彼女が傷つけられて悲しいのかっ………!!」
オレはヤツの言葉を遮るように、敵を…殺めた。
……バタッ
ヤツが倒れる音と共に、オレは時音を抱き上げ廃墟したマンションを出だ。