第12章 危機
~時音side~
さわさわと木々が揺れる音がする。
冷たい風が頬に当たって気持ちいい。
段々と意識が戻っていく。
近くに誰かの気配がする。
誰かな…。
そんなこと見なくてもわかる。
その人から感じる温かい体温。
その人から漂う薔薇の香り。
蔵馬だ…。
ゆっくりと目を開けると、蔵馬の顔が映る。
「………蔵馬」
蔵馬「おはよう、目が覚めたみたいだね。
気分はどう?」
「…うん」
蔵馬「傷はオレが手当しておいたから」
「………え?…蔵馬が?」
蔵馬「オレ以外に誰がいるの?大丈夫、服は右肩の方を少しずらして手当したから」
「あっ………そう、なんだ」
だとしても恥ずかしいよ~~////
蔵馬「時音」
「なぁに?…!!」
蔵馬に呼び掛けられ彼の方に目を向けると、蔵馬は物凄く真剣な眼差しで私を見ていた。
蔵馬「……時音。キミに…話したいことがあるんだ」
「話したいこと?」
蔵馬「あぁ。…オレなりに、自分の気持ちを考えていたんだ。そして、やっと答えがでた。
だから聞いてほしい」
「っ……」
私は一瞬、ビクリと肩が震えた。
まさか、告白の返事でもされるの?ヤダ!聞きたくない!!
自分の中に不安ばかりが押し寄せてくる。
だけど、それはズルいから……。
この前お母様が言ってくれたように、それは自分から逃げているのと同じだから。
だから、ちゃんと受け止めよう。
蔵馬の想いを……