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時の贈り物*[幽遊白書]*

第12章 危機



顔を上げると、敵の顔がはっきり見える。

頭には鬼のような角がある。
赤く鋭い目。蠍のように鋭い尻尾。
手には斧がある。

「……あなたが私をココにつれてきたのね」

敵「ケッケッケッ、そうだ。どうだ?何も出来ずに無様に縛られてる気分は」

「最悪の気分だわ」

敵「ケッケッケッ、そうかそうか最悪の気分か。
お前、姿は人間だが中身は妖怪だろ?」

「それがどうかしたの」

敵は「いいや。お前もそんなカッコして、本当は人間を喰いたいだけじゃねーのかと思ってなぁ」

「私はあなたみたいにそんな趣味の悪いことしないわ」

敵「これはこれは失礼。ケッケッケッ」

私を見下しながら嘲笑う。

こういうヤツ、一番嫌いだわ…。

でも残念、縄で縛ったところで妖気をイッキに放出すれば簡単に脱出でき…

「!!」

ウソ?!妖気が出せない…まさか!!

敵「気づいたか?その縄はお前の妖力を吸い取っているのさ」

「や…やっぱり」

敵「今のでお前の妖力は8割程吸い取ったはずだ。
力が抜けていくだろ」

「っ…」

身体の中から妖力が吸いとられていく…
身体が重い。
意識が…また、遠退いていく…

でも、ここで殺されるなんて…

「絶対…眠らないん…だか、ら…」

敵「強がりなお嬢さんだなぁ。なんなら、その願い叶えてやろうか?」

「…な…なに、言って………っ!!!」

いきなり右肩の方に強い衝撃が…

「ぐっ…」

いまのは…

ゆっくりと目を開けて敵を見ると、ヤツの持っている斧の刃には真っ赤な液体がついていた。

私の…血…?

敵「願い通り、イッキに目が覚めただろ?
なんならもう一回くらい同じ…いやそれ以上の衝撃でも与えてやろうか?」

それ以上の衝撃を、もう一度!?

冗談じゃないわ、今のだけでも痛みがこんなにも激しいのに…。

妖力が吸いとられている以上、燈も日和も呼び出す力がない…。

ヤツが斧を持っている左腕を高々と挙げる。


ーーーーーもう…駄目、なのかな……

ヤダ…怖い…誰か…


その時、私の中に一人の人物が思い浮かぶ。


ーーーーー誰か……蔵馬…蔵馬


「…蔵馬、助けて…」


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