第8章 心の繋がり
「わぁー…今年も人多いね」
蔵馬「…そう、だね」
「っ…。何から回ろっか?」
蔵馬「……時音の、好きなところでいいよ…」
「そっ、そう?じゃあ…綿菓子からにしよっかな~」
蔵馬「……なら行ってきなよ。オレ、ここで待ってるから」
「……うん。行ってくる…」
秀一に言われるがまま、綿菓子を買いに行った。
それから他の出店も私一人で遊んで、秀一はそんな私を待っているの繰り返しだった。
何時間、歩き回っただろうか。
もうそろそろ花火が上がる時間。
見たいのはやまやまだけど、私は秀一と一緒にいることに限界を感じていた。
私たちは、人気のない場所で休むことにした。
でも本当は、休むなんてウソ…。
「……秀一」
蔵馬「どうしたの?」
「私…もう帰る」
蔵馬「…え?どうして…」
「『どうして』って、秀一が楽しそうじゃないからだよ…」
蔵馬「!!」
「秀一、最近私に冷たいよ。
話してるときもめんどくさそうだし、笑顔だって無理矢理作ってるみたいでひきつってるし、
今日だって、いつもなら一緒に遊んでるのに…秀一は『待ってるから』の一方通行。
浴衣だって………」
それ以上は言えなかった。
私の声は震えていて、涙が溢れだしそうだったから。
蔵馬「…時音っ…」
「じゃ、あ…私、帰る、から…」
蔵馬「…あっ、時音!!」
秀一の声も無視して、私はそのまま家の方へ走って行った。