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時の贈り物*[幽遊白書]*

第37章 忍び寄る影


?「やれやれ。急いで駆けつけてきたのに、どうやら無駄足だったようですね」

灯夜「え!?」

声のする方へ振り向けば、そこには蔵馬が壁に背中を預けて立っていた。

灯夜「蔵馬!!」

飛影「気配を絶って近づくな。悪趣味な奴め」

蔵馬「いいんですか?雪菜さんに、自分が兄だと名乗らなくても」

灯夜が抱えていた疑問と同じ事を言う蔵馬。灯夜はまた視線を飛影に戻し、彼の言葉を待った。

飛影「そんな必要が何処にある」

蔵馬「さあ、それは貴方次第でしょう」

飛影「フン、だったらこのままでいい」

そう言った飛影の表情は、何処かスッキリしたような…兄として妹の雪菜を見守るような、そんな優しい表情をしていた。
そんな飛影を見て、灯夜の心から先程抱えていた疑問がスッと消えていった。

燈「そういえば蔵馬様、姫君は?」

燈の言葉に灯夜はハッとなり、蔵馬の方へ向き直る。

灯夜「そうだよ!一緒にいたんじゃなかったの?」

蔵馬「それが…」

言い淀む蔵馬に、灯夜は嫌な予感がした。
ここへ向かう途中に茨木童子と遭遇し、彼もまた時音の命を狙っている一人なため、彼と…または彼の主人である凛姫と遭遇していないか心配なのだ。
最悪の事態を想像し、部屋を出ようとしたその時。

「私はここよ」

顔を上げれば、巫女装束を身に纏った時音の姿があった。隣には澄もいる。
はぁ…と、今日何度目かわからない溜息を吐く。

灯夜「時音、心配したんだよ?」

「ごめんなさい。ちょっとね…」

目を泳がせる時音を見て、灯夜は眉を寄せる。
兎に角まずは話を聞き出そうと口を開き掛けた時、幽助とぼたんがやってきた。

「幽助、ぼたん!」

幽助「おわっ、時音!お?なんでぃ、蔵馬も来てたのか」

「和真君は?」

幽助「ん」

顔を前へクイッと動かす幽助につられ下を見てみると、傷だらけで座り込んでいる桑原に治癒能力で傷を癒している雪菜の姿があった。
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