第37章 忍び寄る影
学校から帰ると、家の前に飛影がいた。私と一緒に帰っていた蔵馬も驚いていた。
「飛影?珍しいわね…。何で私の家にいるの?」
無言で差し出されたのは一つのビデオだった。
飛影「………このビデオを見せろ」
また上から目線な…。
「何よ、そのビデオ」
飛影「次の霊界からの指令だそうだ。幽助に渡すよう言われたが、その前に確認しておこうと思っただけだ」
蔵馬「でもどうして時音の家なんですか?オレの家にもビデオくらいありますよ」
飛影「お前がいなかったからだろう。その前に灯夜の家にも行ったがアイツもいなかった」
でしょうね。ついさっきまで私といたんだから。
飛影「蔵馬が家にいない時は大抵この女の家にいると思ったから来ただけだ」
間違ってはないわね。
最近学校が終わってからは蔵馬と一緒に過ごす事が日常になってるし。
飛影「兎に角さっさとビデオを見せろ」
やっぱり上から目線な飛影を家に上げ、茶菓子を用意しリビングに落ち着いた。
ここまではいい。ここまでは問題ないんだけど…。
「ねぇ、蔵馬。ビデオの付け方わかんない」
蔵馬「………時音、このビデオデッキ使ったことある?」
「ない、けど…」
蔵馬がはぁ…と長い溜め息をつく。何なのよ…。
蔵馬「時音、世間知らずにもほどがある」
「煩いわね!!私だって好きで知らないわけじゃないんだから!!」
蔵馬「わかったわかった。ビデオはオレがつけるから、時音は座ってて」
「蔵馬の見て覚える」
蔵馬がビデオをセットしている隣で、私はビデオの付け方を見る。
あら、意外と簡単だった。普段ビデオなんて全く見ないものだから、デッキがあるのにずっと使ってこなかったのよね…。