第36章 安息
「はい、終わり」
そう言って、先程燈に頼んで持ってきてもらった新しいポロシャツを蔵馬に渡す。
蔵馬「どうも」
「制服の方は後で洗って縫い上げとくわ」
蔵馬「あぁ、ありがとう」
澄が式神となった為、私は炎だけでなく水も操れるようになった。
その水は穢れたものを祓う清水で、その水を操る種族は同じ神使である白蛇の水白-ミハク-族だ。
白蛇の水白族と同じ清水が使えるようにはなったが、まだ使いこなせていない。
使いこなす事が出来れば大きな武器になると、おばあちゃんがこの前言っていた。
今はまだ無理だが、制服で汚れを落とすくらいは出来るだろう。
まあこんな事で清水を使う私もどうかと思うけどね…。
蔵馬「じゃあ次は時音の番ね」
「…………………は?」
蔵馬「だから今度はオレが時音を治療する番」
「せんでいい!!」
蔵馬相手だと何をされるかわからない…。
物凄く身の危険を感じるっ!
蔵馬「心配しなくても、ただ治療をするだけだから」
「蔵馬だから心配なの!」
あれ?何か私さっきから叫んでばっかりじゃない?
疲れが溜まっていく一方なんだけど!
「………………じゃ、じゃあ一応聞くけど。どうやって治療するの?」
私は構えながら蔵馬に恐る恐る聞く。
蔵馬「かなり警戒されてるね」
「当たり前でしょ!」
蔵馬「右腕、かすり傷かもしれないけど結構深いだろ」
「……え?」
蔵馬「それから、頭も強打してるみたいだし。それに背中も深い傷があるだろう」
上手く隠しているつもりだったのに…。
蔵馬「いつもより動きが鈍かったからね。ずっと見てたけど、間違いなくその三ヶ所が一番傷が深い」
「…当たり、よく分かったわね」
「言ったろう。時音の事なら何でもお見通しだって」
やっぱり、この人には本当に敵わないみたいね。わかってはいたけど…。
「…じゃあ、治療お願いします」
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