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時の贈り物*[幽遊白書]*

第36章 安息


蔵馬「君のその強い瞳には勝てないよ」

そう言いながら、ポンポンと私の頭を撫でる蔵馬。
疲れた表情とは裏腹に、声音はとても穏やかなものだった。

「意外と折れるの早かったわね」

蔵馬「どれだけ一緒にいると思うの?これだけ長く一緒にいたら、時音の性格なんて全てお見通しだよ」

苦笑いの蔵馬に私も苦笑いで返す。

「それより、蔵馬はお腹大丈夫なの?」

さっきから気になっていた事だ。

蔵馬はこの前、三大秘宝の件で幽助を庇った際、飛影の持っていた降魔の剣で腹部を刺されている。

その時と同じ場所にまた深い傷を負っていた。
その証拠に制服は破れ、その箇所には血が滲んでいる。

まだ前の傷が完全に塞がったわけではないのに…。

蔵馬「大丈夫だよ。さっきの時音との"キス"のお陰で少し傷は塞がったから」

「然り気無くキスを強調するのやめてくれる?」

蔵馬「あれ?そんな事してた?」

「してたわよ!!」

この色魔!性悪狐!!

「ほら、治療するから上の服脱いで」

蔵馬「それ誘ってる?」

「んなわけないでしょ!!いちいち話をそっち方面に持っていくな、このエロ狐!!」

余裕の笑みを浮かべながら私を挑発するようにニコニコしている蔵馬。
あ、なんか殺意が…。

蔵馬が上の服を脱いだのを確認して、私は傷口に両手を翳し、妖気を注ぎ治療を開始する。

服の上から見ると分かりづらいが、こうして見ると、傷はかなり深かった。

「よくこんなんで動き回ってたわね」

蔵馬「その言葉、時音にそっくりそのまま返すよ」

先程のやり取りを思い出す。
降参した様に見せかけて、この人心の中では結構色々思ってるんじゃないの?

心の中でグチグチ言いながらも治療を続けた。
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