第36章 安息
家に上がらせてもらい、和真君の部屋に通された。
勝手に和真君の部屋に入ってもいいのか聞けば、「姉のあたしが言ってんだからいいのよ」とのこと。
どうやらこの家の主導権は静流さんのようだ。
静流「お風呂沸かしてきたから、誰か入ってきな」
「じゃあ螢子ちゃんお先にどうぞ」
螢子「いいんですか?」
「巻き込まれた方なんだし、気にしないで。ゆっくり入ってくれて大丈夫だから」
螢子「じゃあ、お言葉に甘えて…」
螢子ちゃんが部屋から出たのを確認して、私は切り出した。
「で、今回の騒動。螢子ちゃんにどう説明するつもり?」
ぼたん「そうだよね…。しかも幽助の名前が出てきてしまったら、逃げ切ることは出来ないよ…」
「灯夜、四人はまだ妖魔街?」
灯夜「ちょっと待ってね」
灯夜は左手に一冊の本を具現化した。彼女の能力の一つ、"道導-ミチシルベ-"だ。
この"道導"の能力は、様々な情報を引き出す事も可能で、千里眼の役目もある。飛影の邪眼と似たようなものだ。
他にも地図や辞書の代わりとしても使うことができ、かなり便利な能力。
勿論、この能力は戦闘時にも使用している。
私も灯夜の能力に何度助けられたか。
先程のワープも道導の能力の一つ。
本を使うところからどことなく魔法使いみたいだと、幼い頃から言われていたため、いつの間にか"珊瑚の魔女"と呼ばれるようになっていた。
因みに珊瑚の意味は、緋神子族は炎を操る一族で、炎の色は妖怪によって違うが赤系が基本色となる。
例えば、私の炎の色なら緋色。私の母・桜音なら桜色というような感じだ。
そして灯夜が操る炎の色は珊瑚色で、珊瑚は灯夜を表している。
だから"珊瑚の魔女"と言われているのだ。