第35章 予感的中
どこへ逃げても追ってくる魔回虫に取り付かれた人間達。
1度部屋に逃げ込み鍵を閉めたものの、ドアを開けられるのも時間の問題。
「……どうすれば」
何か……何か手はないの?
この危機的状況を切り抜ける手は…。
そしてふと目に入ったのは、掃除用具入れだ。
……掃除用具入れ?
こういう時、映画ならきっと掃除用具入れに逃げ込む事が多いはず。
なら……それを利用すればいいまでの事。
「ぼたん、螢子ちゃん。私に考えがあるわ」
人間達はドアを壊し、とうとう中へ入ってきた。
上手く引っ掛かってくれればいいけど…。
教師「さぁて、どこに隠れたのかな?どんなに上手く隠れたつもりでも、スカーフがはみ出しているぞ」
先程の教師をはじめ、次々と人間達がほうきで用具入れを叩いていく。
よし、掛かった。後は…
用具入れのドアが開き、落ちたのは螢子ちゃんのスカーフ。人間達の動きが止まった。
「今よ!!」
私の合図で隠れていたカーテンの中から飛び出し、私は木刀で、ぼたんと螢子ちゃんはほうきで人間達を殴る事に成功。
全員が気絶したのを確かめ、私達は部屋を出た。
しかし
気絶させたばかりなのに、もう起き上がってまた追ってくる。
これじゃ切りがない…。
ぼたん「螢子ちゃん、お時ちゃん早く!」
螢子「えぇ」
このままじゃ本当に三人ともやつらの餌食になってしまう…。
螢子「ぼたんさん!!」
「っ!?」
螢子ちゃんが大きな声を出したため前を向いてみれば、ぼたんがやつらに殴られて倒れてしまった。
「ぼたん!!」
螢子「ぼたんさん、ぼたんさん!!」
そして周りには人間達。また囲まれてしまった。
ぼたん「……逃げて」
ぼたんはポツリと呟き、そのまま気を失ってしまった。
教師「ここから逃げられると思ったかバカめ。外には見張りが沢山いる」
ゲラゲラ笑うやつらを尻目に、私は決心して木刀を構えた。
「螢子ちゃん、ぼたんのことをお願い」
螢子「……時音さん?」
「今の体力でどこまでやれるか分からないけど、私に任せてちょうだい。こうなったらもう賭けね」
幽助が虫笛を壊すのが先か、私が倒れるのが先か…。
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