第35章 予感的中
予想通りなのか、魔回虫がどんどん陰湿な心の人間に取り付いている。
その人間の数は手に負えない程になっていた。
なんたって妖力が不安定な時期に…。
「一度ぼたんと合流すべきね…。っ!」
人間「ウガゥガァァ!」
取り付かれた人間が次々と襲ってくる。蹴りで相手を気絶させまた逃げる。その繰り返しだった。
そしてふと思ったのだ。
「あれ?これ…この光景。何処かで見たことが…」
どこだった…?
記憶を巻き戻していく。
「っ!?!?」
そして思い出した。これは…
「夢で見たものだわ…」
そう、この前見た悪夢の正体。それは今回の出来事を予知していたのだ。
すぐにコンパクトで幽助にコールした。
「こちら人間界の時音。そっちはどう?」
幽助〈四聖獣の三匹は倒した所だぜ〉
「残るは朱雀だけ?」
幽助〈そうなるな…。それがどうかしたのか?〉
確か朱雀って人質を使って相手を服従させようとする。そんな噂があった気がする。
そして、従わない者はすぐに殺してしまうと。
コンパクトに視線を戻すと、幽助以外の三人は戦って力を消費しているように見える。
それに燈の調べによると、朱雀の所に行くまで沢山の養殖人間を相手にしなければならない。
只でさえ時間がないこの状況から、幽助が先に行って、残りの三人が養殖人間の相手をする事になるはず。
勘だけど…。
つまり朱雀が人質をとるとすれば、幽助にとって大切な人。つまり………!?
「螢子ちゃんが危ないかも…」
幽助〈は!?時音、螢子が危ないってどういう意味だ!〉
「ごめん、幽助。また後で連絡する!」
幽助〈は!?ちょ、おい!時音〉
コンパクトを閉じ、私はダッシュで走った。
向かうは皿屋敷中学。螢子ちゃんが通う学校。