第35章 予感的中
ぼたん〈うへ~ん。お時ちゃんの二人称がアンタになってる…。ごめんなさ~い〉
「まぁ兎に角、まずは蔵馬と飛影を妖魔街へ送るから、その後はさっき言った通り、皿屋敷駅に集合ね」
ぼたん〈アイアイサー!!〉
通話を終了し、二人へ向き直った。
「と、言うわけでもう一人お守りが増えたからよろしくね」
飛影「フン、面倒掛けさせやがって」
蔵馬「まぁまぁ。戦力は多い方が良いでしょう」
更に不機嫌になる飛影を宥める蔵馬。そのやり取りを見て私は少し不安になった。
これ、四人仲良く協力できるかしら…。
蔵馬「さて、そろそろオレ達も妖魔街に行きましょうか」
蔵馬がそう言い、飛影はチラリと私を見ると、先に入り口へ入っていった。
「………。三人のお世話係よろしくね」
蔵馬「あぁ。………時音、くれぐれも無理はしないように」
「わかってる。そういう蔵馬も気を付けてね。ちゃんと……帰ってきてよ?」
蔵馬「帰るよ。言われなくても、時音を置いていくわけないだろう」
だけどやっぱり不安だった。
妖狐なら全然大丈夫なんだろうけど、今の人間の姿でどこまで戦えるか…。
蔵馬「時音」
名前を呼ばれ顔を上げると、蔵馬は右手を私の左頬に添えてきた。
「蔵馬?」
蔵馬「必ず帰ってくる。オレを信じて待っててくれる?」
「…………うん」
蔵馬の目を見ながら短く返した。蔵馬もニコリと微笑み返すと、私の額に軽く口付けをしてから、入り口の中へ姿を消して行った。
いきなりの行動に私は思わず固まってしまった。そして思う。
「…………不意打ちとかずるい//」
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