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時の贈り物*[幽遊白書]*

第34章 不吉の予兆


昔、お婆様に何度も聞かされたお話がある。
とてもとても、悲しいお話が…。








あるところに、美しい妖怪がいました。
その妖怪は容姿だけでなく、心も美しい妖怪でした。


しかし彼女は、一族から追放された身でした。
何故なら、彼女には異質な能力があったからです。
その能力のせいで、彼女は周りから忌み嫌われ、ずっと独りで生きてきました。


しかし彼女は、それでも前向きに生きました。
彼女は魔界で生きていくに、不向きな澄んだ心の持ち主で、誰よりも強く気高く、美しかったでしょう。



そんな彼女はある日、恋をしました。
相手は、人間の男でした。


その男は、誰にでも優しく、裏表のないとても良い殿方で、容姿もそれはそれは美しいものでした。
困っている人を見過ごさず、手を差し伸べる男のその心に、彼女は次第に男に惹かれていったのです。


男は王家の人間でした。


彼女は、男の傍にいたくて仕方ありませんでした。
だから彼女は、男の下で働く事を決めました。


勿論、自分が妖怪だという事は隠して。




彼女は人間の生活に馴染むにはとても時間が掛かり、初めての事だらけでいつも失敗を繰り返してばかりでした。


しかし男はそんな彼女を励まし、支えてあげていました。


そして、どんなに失敗を繰り返しても、弱音を吐かずに頑張る彼女の姿を見て、男も次第に彼女に惹かれていったのです。




それから彼女は彼の最も近い存在でいられるよう、必死に努力しました。


そして、彼女はとうとう男のお世話役として、男の傍にいられる権利を掴んだのです。





それからは幸せな日々でした。


男と共に、他愛のない話をしながら過ごす毎日は、彼女の宝物でした。
彼女はこんな日が続けばいいと、ずっと望んでいたのです。


しかし彼女の願いは虚しく、悲劇は起きました。
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