第34章 不吉の予兆
学校が終わり、秀一と共に彼の家へ向かった。
お茶を出してもらい、床に腰掛ける。
暫く沈黙が続いた。
話すのが怖かった。
灯夜に話そうとした時よりも不安だった。
何故なら、灯夜と話して夢の通りの未来が確定されたのだから…。
蔵馬は黙って、私が話し出すのを待っていてくれた。
その気遣いが嬉しい反面、この沈黙の空間が怖かった。
だけどこのままでは拉致が空かないので、私は小さく深呼吸をした。
「今日見た夢の話なんだけど…」
それから、灯夜に話した時と全く同じ事を話した。
その間、蔵馬は険しい表情だった。
けど、何かを考えながらも蔵馬は、少し怯えている私の肩を抱いてくれていた。
だから私もゆっくりだけど話す事ができた。
蔵馬に打ち明けたことで、安心したのかホロホロと涙が流れてきた。
蔵馬は私の頭を優しく撫でてくれた。
蔵馬「怖かったね。大丈夫、オレがついてるから」
「…う、ん」
涙声になりながらも、辛うじて出た声はそれだった。
そう、私は悪夢が怖かったという訳ではない。
二つ目の夢。それは即ち、私の覚醒が近づいている証。
私が覚醒して、私が私でなくなってしまうかもしれない事が怖かったのだ。
蔵馬もそれを解っていた。
いつの間に理解していたのだろう。
…きっと最初から、かな。