第33章 選考会
それからは悲惨な光景だった。
幻海が少林の勝ちとみなし、試合を止めたが、少林は懲りずに桑原を握り潰そうと手に力を込める。
幽助「桑原!」
見るに耐えられなくなった幽助が、勢い任せに少林へ突っ込んゆく。
少林は桑原をポイッと放り投げると、再び呪文を唱えて桑原の大きさを元に戻した。
幽助「桑原……!!」
ぼたん「両腕の骨がコナゴナになってる。左足と肋骨も。両腕は…元通りに戻らないかも」
「いいえ。上手くやれば、戻すことができるかもしれない。ただ…」
今の私じゃ出来ない…。
澄の封印を解き、急な妖力の倍増により今の時音の妖気はとても不安定な状態なのだ。
この状態で、桑原の治療を行えば、力の加減が上手くコントロールできず、ますます危険な状態にしてしまうかもしれない。
(でも、このままじゃ和真君が…。そうだ!)
時音は白衣の袖から一枚の札を取り出した。
「出でよ、燈!」
燈「お呼びでございやすか?姫君」
「燈、私の代わりに彼に治癒をっ!」
燈「了解しやした」
燈の妖力は安定しているから、彼女の能力で少しは回復できる。
(あとは…幽助!)