第33章 選考会
全員がクジを引き終え、時音は内心ホッとしていた。
クジの壺は自分が持っていたため、一瞬幽助と目が合ってしまい、数秒の間ジッと見詰められていたのだ。
(…ふぅ。危ない危ない)
こういう場面に限って幽助は鋭い。普段はバカなのに。いや、見られていた時点でバレていると思うが、あえてそこはスルーしておこう。
幽助の反応を見ると、どうやら当たったようだ。
(ま、当然ちゃ当然か…)
霊界探偵でもあろうお方が、一次審査で落ちてもらっては困る。
幻海「当たったヤツはついといで。はずれたモンはとっとと帰りな」
男1「待てーーい!!」
幻海の十倍はある二人の巨体が文句をつけてきた。
クジ引きでの審査が気に入らないようだ。
周りから見れば単なるクジ引きだが、時音はそれが特別に作られているというのはわかっていた。
(怒る気持ちもわからない事ないけど…よくよく考えれば普通のクジとは違うことくらい、判ると思うんだけど…)
大切な自分の弟子を選ぶのに、普通のクジなど使うわけがない。
何かしらの意図があると考えるのが正しいはず。
(蔵馬なら確実に判ってたわね)
等と、蔵馬の恐ろしい考察力を考えながら、目の前で繰り広げられている揉め事を眺めていた。
幻海「クジにも選んでもらえなかったインチキ芸人が笑わせんじゃないよ。さっさと家帰ってクソして寝な」
男2「おのれババア、許さん!!」
完全に切れた二人は、幻海に殴り掛かろうとする。しかし…
幻海「喝!!」
巨体の二人は幻海に触れる事なく、志願者達の後ろまで吹っ飛ばされた。
幻海の霊波動を目の前にし、志願者達は誰もが息を呑む。
幻海「はぁ…年にゃ勝てないね。昔なら眼力だけで、あんなヤツらチビッたもんだ。あたしの霊波動もなまったもんだ」
取り敢えず時音は、納得していない者のために、クジのカラクリを志願者達に説明する。
「先程のクジは、おそらく師範が特別に作った紙です。あるレベル以上の霊力を持った者が手にすると、赤く反応するという仕組みになっている…と、いう事でいいですか?師範」
幻海「そういう事だ。わかったらぼさっとしないでとっととついといで」
二人に続き、クジが当たった志願者達は後をついていく。そんな中先程の幻海の力に、志願者達は驚きと期待を同時に感じていた。幽助や桑原も。