第33章 選考会
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儀式から一週間が経った。
あれから少し体調に変化がみられたが、蔵馬達のお陰で何とか過ごせている。
四日目からは徐々に安定していき、今日の選考会までには取り敢えず妖力は回復していた。
幻海の寺の一室で、時音は巫女装束に着替えていた。
上は白衣、下は緋袴、そして黒塗りの下駄を履き、腰まである漆黒の髪は、白いリボンと赤い紐で纏めた。
(……これで幽助を誤魔化せるかしら)
幻海「時音、準備は出来たかい?」
「うん」
部屋の外にいるであろう幻海の元へ向かう。
幻海「もう大分集まっとるよ。やかましいから取り敢えずアイツら黙らせとくれ」
「はーい」
幻海の台詞に苦笑し、時音は襖を開けた。
「静粛に!!幻海師範がお見えになられます」
彼女の声に、ざわついていた声はピタリと止んだ。それと同時に、襖の奥から幻海が姿を現す。
幻海の姿が意外だったのか、彼女を見て驚く者や、決意を固めゴクリと唾を飲み込む者等複数だ。
そして、その中の一人である幽助と桑原も少なからず驚いていた。
しかし幽助は、幻海の一歩後ろにいる巫女をジッと見ていた。
幽助(……アイツ、どっかで見たことあるぞ)
当然だろう。巫女の正体は時音なのだから。
幽助が頭の中で記憶探っている隣で、桑原は一人浮かれていた。
桑原(……だ、誰だ!あの美人なねぇちゃんは!///)
幻海「それじゃあ早速審査を始めようかね」
その言葉に周りの空気が重くなる。それと同時に志願者達の心は少しずつ緊張感に呑まれていく。
幻海「第一次審査は……!!」
全員がゴクリと唾を呑む。
幻海「クジ引きじゃ」
そして、全員がズッコケた。
勿論、隣にいた時音も審査内容は教えてもらえなかったため、驚きはしないが、顔に苦笑いを張り付けていた。
(……流石おばあちゃん。志願者達の緊張感を全て無にしちゃうんだから…)
苦笑しながら幻海らしいと時音は思った。