第32章 儀式
……今返事を聞くのは無理そうね…
無理もないか…初めて会って信じろなんてね
その時…
「………っ」
………アレ?
なんだかすごく…フラフラする…
「……ぅ」
蔵馬「時音?」
「……………」
途端
フラ…
蔵馬「時音!!」
体の力がなくなり、倒れそうになったところを蔵馬が抱き止めてくれた。
蔵馬「時音!!大丈夫か!?」
「…うん。ちょっと疲れたのかな…」
幻海「蔵馬!とにかくまず湖から上がれ!!」
蔵馬「はい!」
私はそのまま蔵馬に抱き抱えられながら陸まで連れて行ってもらった。
桜音「時音!!大丈夫ですか?」
お母様が顔色を変え、心配そうに私の顔を覗き込む。
「は、はい…少し頭がフラッとして…」
幻海「無理もないよ。あれだけの力を使ったんだ。倒れても可笑しくはない」
灯夜「師範、やっぱり先程の儀式は、かなりの力を使うんですか?」
幻海「まぁね。玉藻が封印したものを解いたんだ。かなりの力を消費する。
それを時音はやり遂げたんだ、随分成長したもんだよ。
よく、頑張ったな」
「………おばあちゃん…」
頑張った、と褒めてもらったのは…何百年ぶりかな…
嬉しくて、嬉しくて…仕方なかった。
どれだけ頑張っても、皆は褒めるどころか嫌悪を感じていたから。
力の開花が進めば進むほど、玉藻へ覚醒してしまう恐れがあった。
だから、おばあちゃんが褒めてくれたのは、素直に凄く嬉しかった。
心の中が幸福に満たされた気分だ。